府中野鳥クラブは、1982年3月25日に設立されて以来、この3月25 日で丸 40年を迎えます。その目的は、「府中市域を中心に、野鳥の観察、記録調査をもって、地域の自然保護・普及に資する」と当クラブ規約に掲げられています。
2020 年4月7日に始まる第1回目の緊急事態宣言の発令から、現在のまん延防止等重点措置の適用に至るまで、何回もの不要不急の外出規制により、観察が十分に活動できなかったと認識しております。ただ、基本的には、当クラブの目的である、野鳥の観察、記録調査をもっての部分は継続すべく、担当幹事をはじめ有志の皆様方で、個人主催観察会などの継続記録を続けその状況を報告して参りました。関係の方々に感謝申し上げます。
当クラブの観察拠点である大丸堰は、3年後には現在の形が無くなり、普通の川の流れになります。日々工事車両が行き来し、様子が一変しています。そのような状況の中でも野鳥は、逞しく生息しています。生息場所の変化や、生息数の増減など記録調査は、これからも続きます。
今回は、創立 40 周年記念として、皆様方からの野鳥写真を募集して2月 12 日に実施予定の『浅間山冬鳥観察会』にて野鳥写真展を開催し、お披露目する予定でしたが、コロナ禍のため中止となりましたので、ここにお披露目させていただきます。
また、例年実施している「カモ調査」の件ですが、今年初めてカモ調査時に合わせて「越冬期調査」として、野鳥全鳥種の調査も実施させていただきました。府中市内全域での一斉調査は初めての試みでもあり、これも 40 周年記念行事とさせていただきました。あわせて、ご確認していただければ幸いです。
また、会員所蔵の羽根コレクションを掲載しました。観察会時に見つけた羽根や先輩方から譲り受けた羽根です。
小学校の学習支援や、府中環境まつりなどで、有効活用しています。 会長 橋本和司
40周年記念 野鳥写真
羽根コレクション(会員所蔵)
府中野鳥クラブは、1982(昭和57年)3月25日に結成されました。
現在、定期観察会、例会、その他会員の自主的な観察会を府中市全域で実施しています。さらにカモ、ヒバリ、ツバメのねぐら入り調査など年間100回を超える活動をしています。その活動記録を毎月発行する会報「やちょう」に掲載しています。
府中市は「豊かな緑と多摩川に恵まれた貴重な自然環境」を有し、毎年100種以上の野鳥が観察されます。年間100種以上観察できる自然環境を身近にもつ府中野鳥クラブに参加してみませんか。
定期観察会、例会、「府中の鳥」ヒバリの調査、多摩川に飛来する「カモ調査」、多摩川の河川敷に日没後集団で「ねぐらをつくる」ツバメの調査など自由に参加できます。野鳥の観察会や調査を通じて自然体験活動に参加しましょう。
入会のご案内
年間100種以上観察できる自然環境を有する府中野鳥クラブでバードウォッチングを楽しみませんか。
探鳥会は会員以外でも自由に参加することができます。是非一度、ご参加ください。
①年会費 個人は2,000円です。家族、高校生は1,000円。小中学生は無料です。入会金は無料です。
②会報「やちょう」を毎月上旬に送付します。
③申込はいつでも受付可能です。申込フォーム、郵送あるいは探鳥会に参加してお申込ください。
市民観察会
市民・市域との交流は小学校、地域文化センター、都立公園、府中市などの様々な団体等から依頼を受けて観察会を実施して交流を深めてきました。現在、府中市、都立公園指定管理者、浅間山自然保護会などと連携しながら下記のイベントを毎年実施しています。府中市の広報「ふちゅう」にその都度掲載して多くの市民が参加する恒例のイベントになっています。
浅間山公園冬鳥観察会
日時 2月第2土曜日予定 午前9時~12時
場所 多磨霊園正門前~5区公園~都立浅間山公園
浅間山を考える会(指定管理者、浅間山自然保護会、府中野鳥クラブ、ウォーキングクラブ)の協力で実施
郷土の森博物館園内観察会
日時 1月第4日曜日予定 午前9時~12時
4月第4日曜日予定 午前9時~12時
場所 郷土の森博物館園内
キスゲフェステバル
時期 4月の第4土日曜日、5月の第1土日曜日 10時~16時 場所 都立浅間山公園
府中市域で観察される野鳥の写真を展示しています。
浅間山を考える会と連携して実施しています。
武蔵野の森公園観察会
日時 3月第2土曜日予定 午前9時~12時
場所 公園サービスセンター~雑木の疎林広場~修景池~
プロムナード
紅葉丘文化センター観察会
日時 11月第4土曜日 午前9時~12時
1月第4土曜日 午前9時~12時
場所 紅葉ヶ丘文化センター~多磨霊園~5区公園
ツバメのねぐら入り観察会
時期 7月第4金曜日 18時~19事30分
場所 府中市立第八中学校前河川敷
府中市環境政策課自然保護係の協力を得て実施しています。
残念ですが、2015年から2021年はツバメがねぐら入りしないため、中止しています。 2022年は復活の兆しが見えてきました。
2023年は実施したいと考えております。
調査活動
カモの調査
府中市南縁を流れる多摩川の長さは約9Kmですが、その流れや淀み、草原や砂利地は野鳥に適していましたが、さらに多摩川が昭和44年に禁漁区に指定されたことで、野鳥にとってよりよい環境となりました。
この自然環境は特に水鳥にとって適しており、多摩川で見られる水辺の鳥の中では圧倒的にカモ類が多く見られます。
カモ類は水面が広く中州があり、餌が豊富な所に多いと言われています。
府中野鳥クラブは1994年からカモの調査を始めました。毎年1月中旬の午前中に実施しています。それぞれ2、3人のチームで、調布市境から国立市境までを対象に、5区画に分け、種類とその個体数をカウントし記録しています。
調査結果ではマガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモなど10種類近くのカモが観察されています。
ツバメの調査
「ツバメの集団ねぐら調査」を毎年6月下旬から8月下旬の月曜日、午後6時から7時30分まで、府中市四谷小学校前のヨシ原で実施しています。
ツバメは繁殖、巣立ち直後は生まれた巣の近くで過ごしますが、その後は夕方になると他のツバメと河川敷などに集まり「ねぐら」を作ります。
府中市を流れる多摩川の四谷橋下流で「集団ねぐら」が発見されたのは2002年でした。22,000羽を超えるねぐら入りが確認されたので、2003年から「ツバメの集団ねぐら」の調査を実施しています。
ツバメはヨシの天辺に多く止まります。風が吹いても揺れが少なく、地上からの高さが得られ、タヌキなどの地上性の捕食者を避け、安全に夜を過ごすことができるためと考えられています。「ツバメの集団ねぐら」の調査をはじめて一時期、外来種のアレチウリがはびこり、ヨシ原が崩壊したため、ねぐらが消滅しました。
当クラブでアレチウリの除去作業を行った結果、「ツバメの集団ねぐら」が再生しています。渡り鳥のツバメを守り、ねぐらを形成するヨシ原を保全するために「ツバメの調査」は大切な調査といえます。
あわせて府中市が実施している市内のツバメの子育て状況調査に協力しています。
ヒバリの調査
ヒバリは府中市の「市の鳥」として1969年に制定されました。春になると空高く舞い上がり美しい声でさえずる「揚げヒバリ」は春の風物詩として市民に親しまれています。多摩川河川敷に多く生息する生き物の代表でもありました。
現在は経済成長とともに農耕地、草地の多くが宅地に転用され、地表を歩きながら植物の種子や昆虫を採餌するヒバリが生息する環境が変化し個体数が徐々に減少しています。
1994年から、さえずりが盛んな4月中旬頃ヒバリの生息調査を実施しています。
調査区域は多摩川左岸の調布市境から国立市境までの河川敷を3区間に分けて2、3人が担当し実施しています。その他東京農工大学構内の農場、武蔵野の森公園の府中市側のグラウンドと調布飛行場の草地でも調査しています。
保全活動
ヨシ原の保全
2003年から当クラブとして「ツバメのねぐら入り」調査を始めました。その3年目の2005年7月の台風の影響で、繁茂した特定外来種であるアレチウリに覆われたヨシ原が倒れ崩壊し、ツバメがねぐらを放棄しました。
ヨシ原を復活するため、2007年、アレチウリの駆除作業を2回実施しました。2008年には3年ぶりにねぐらが復活しました。
アレチウリの駆除作業は年2回実施しています。1回目は7月頃、ヨシ原にアレチウリが芽を出し始めた頃、2回目は9月頃、取り残したアレチウリが実をつける前の駆除。
2015年~2017年の3年は河川の乾燥化でオギが拡大し、台風の影響とイシミカワ、ヤブガラシ、ヘクソカズラなどつる性の植物にヨシが倒され、ツバメのねぐら入りが見られなくなりました。
2019年には台風により河川一帯砂礫に覆われましたが、2020年にはヨシが逞しく生育し、10羽ほどのツバメねぐら入りが確認されました。
2021年には300羽のツバメねぐら入りが確認されました。
浅間山巣箱掛け
浅間山は標高79.6mの堂山、中山、前山をもつ丘陵で、いまなお武蔵野の面影を色濃く残しています。コナラ、クヌギを主体に多様な樹木が茂り、その林床にはムサシノキスゲ、キンラン、ギンランなど野草や野鳥や昆虫など自然の宝庫です。
浅間山の林にシジュウカラの巣箱を10年以上掛けてきました。
2022年10 月18 日(火)に、昨年 10 月に浅間山公園に取り付けたシジュウカラ用巣箱 24 個を取り外し、内容物確認、清掃及び、取付作業を、浅間山を考える会、府中市役所と共催で実施しました。
巣箱の使用率は、過去に例がないほど高く、58%でした。
巣は、コケ類などを敷き詰め、シュロのような強い繊維状で丸く強化し、その上に羽毛を敷いたものが多く見られました。来年は、市民参加で実施できたらと考えています。